”Passports & Palates” ブログ名について
子供の頃から、両親の仕事柄で海外に行くことが多く、初めての海外旅行は5歳の時のシンガポールでした。蒸し暑いシンガポールの空気感、タイガーバームガーデンで見た濃色の蘭、屋台での食事・・・今でもいろいろなことをはっきりと覚えています。アルバイトで小金を稼ぐようになった大学時代には、カンボジアのアンコールワットで掃除ボランティアをしたり、今ではちょっとできないと思うようなめちゃくちゃな旅をたくさんしました。大学卒業後に就職した旅行会社。入社3ヶ月後の初めての海外出張で南インドのハンピへ送り込まれ、そしてその年の社員旅行はシリアというかなり変わった(?)旅行会社で働いたことでさらに旅行癖は加速。その会社での10年で約60カ国を旅行し、貴重な出会いがありました。今でもメールや連絡を取り合う大切な友人たちです。トラベルアドバイザー・トラベルライター・旅人・・・私が履いている3足のわらじは全て旅がキーワード。各国のスタンプがいっぱいでページを増補した私のPassportは、そんなプロフェッショナルとしての必携の持ち物であり、思い出そのものです。
そして世界中を旅する間においしいものを見つける特技(?)だけでなく、向こうで食べたものを再現する能力もつきました。私には実は日本だけでなく世界各地にお母さん(あ、お父さんもです)がいます。北キプロスのお母さんからはしょっぱい系と甘い系のキプロスのおやつの作り方を教えてもらいました。カンボジアのラッフルズホテルのシェフからは、たった2時間で5コースミールの作り方を教わるという、Top Chef(アメリカで人気の料理番組)もびっくりのスピードでよそ行きのカンボジア料理の調理法を伝授してもらいました。そんな尊敬すべき世界中の父母の味、タイの小さな路地で買ったふわふわのドーナツみたいな揚げ物、インド旅行初日のムンバイで出された食べられないほど辛いカレー・・・世界各地の味が私のPalateに残されていきます。ふとフィレンツェのマンマを思い出して家で作ったラビオリだって、到底あの味には追いつかないけれど、そのPalateを彩るカラーの一つです。もう一つ、私の旅行と切り離すことができない関係のもの、それはワイン。様々なワイナリーへの旅のアレンジをお手伝いする間に、自分もワインを飲みたくなって僻地まで。ジョージア(グルジア)のワイナリーで地面からグラスに注がれたこれ以上ないほど素朴なワインから、研修旅行中に寝坊して危うくチャンスを逃しかけたメドックの1級格付けシャトーの一つ、シャトー・ラフィット・ロートシルトまで、私のPalateは極彩色でうめられています。