アメリカのベストシティ・チャールストン (Charleston) という街

教会&カラフルな低層の建物の街並みはチャールストンの景色

教会&カラフルな低層の建物の街並みはチャールストンの景色

アメリカの旅行雑誌「コンデナスト・トラベラー」の読者の投票によって選ばれるReaders' Choice Awardsは、旅に関わるいろいろな「ベスト」が毎年選出されます。このランキングは旅行トレンドを変えるくらいの影響力があって、選ばれると世界の各地や航空会社がプレスリリースを出したりするほど。2020年の世界一魅力的な街は京都でした。

その項目の中にはアメリカで最も魅力のある街を選出するBest Cities in the USというものもあって、ここ数年ずっと1位の座を占めているのがサウスカロライナ州のチャールストン。私はこの雑誌を購読してかれこれ10年くらいになりますが、チャールストンはいつも上位にある印象。調べてみると2011年から10年連続でNo. 1らしい・・・何がそんなにいいのか、旅慣れた読者が10年に渡ってナンバーワンだと言うのには何か秘密があるに違いない・・・そんな感じでチャールストンの名前を知るようになってからずっと旅行のチャンスを伺っていましたが、最寄りの大都市はアトランタ(約500km)、ワシントンD.C.(約900km)というロケーション故、何かのついでに行くことが難しい。しかしそのチャンスがこの4月にやってきたよー。日本にいる時もアメリカにやってきてからも海外ばかりに気をとられていましたが、コロナ禍で海外旅行ができない今がチャンス!

チャールストンの街角にはたくさんの教会が見つかります(1723年に建てられたセントフィリップス教会)

チャールストンの街角にはたくさんの教会が見つかります(1723年に建てられたセントフィリップス教会)

チャールストンはアメリカ東部、大西洋岸に位置する一般的にはアメリカ南部といわれる街です。さらに大西洋へ流れ込む3つの川が合流する河口にある街で、周辺は水に囲まれて湿気があります。それだけに飛行機から見えた南カリフォルニアよりもずっと濃い緑色の木々の景色が印象的。まずこの緑の多い環境としっとりとした空気感が気持ちがいい。さらには今どきは小さい街でも必ずと言っていいほどある高層ビルが全くありません。その代わり空の景観をつくりだす教会の尖塔。チャールストンがイギリスの植民地だった頃、チャールストンは当時数少ない宗教に寛容な場所だったそうで、18世紀頃に建てられた教会やシナゴーグなど、道の角を曲がるたびに教会の塔に出会います。その教会を囲むようにある家や建物は南北戦争後に建てられたもので、なんとも雰囲気がある街並みです。何度も地震やハリケーンに見舞われながらも、修復やリノベーションを経て今日もチャールストンを美しく彩っています。

アフリカンアメリカンのGullah(ガラ)の伝統文化、Sweetgrass Basket(スイートグラスバスケット)

アフリカンアメリカンのGullah(ガラ)の伝統文化、Sweetgrass Basket(スイートグラスバスケット)

サウスカロライナ州や隣の州のヴァージニア州あたりはアメリカの奴隷制度が始まった地でもあります。1600年代にイギリスの植民地になった頃のプランテーションでの働き手として送られてきたのがアフリカなどからの黒人奴隷。アフリカや西インド諸島から奴隷制度によってチャールストン周辺に渡ってきた、アフリカ系アメリカ人「ガラ人」と呼ばれる人がチャールストンの街づくりに大きく貢献したそうです。市内にあるチャールストンシティマーケット(伝統ある市場だというけれど今はお土産ものの並ぶ屋内モールに近い)で椰子の葉っぱを使った手作りのバスケットをたくさん目にしました。これはGullah(ガラ)コミュニティによって今も大切に守られている伝統の一つ。伝統工芸だけでなく、料理や音楽までアフリカをルーツとするそんなガラ文化を感じることができるチャールストンの魅力です。

ガラ人は、アメリカ合衆国の他のどの黒人のコミュニティよりも、アフリカの言語と文化の遺産が保存されていることで知られている。
— ウィキペディア「ガラ人」より

私は旅行して初めてガラ文化について(正確には帰宅後のインターネット調査で)知りましたが、アメリカではユニークで豊かなガラの伝統について研究や文献はとても多いそうです。この先もその遺産が時代に合わせながら適切に守られていきますように。

街並み、ミックスカルチャー、温暖で美しい自然・・・チャールストンが旅行者に愛される理由は、たった半日街を歩くだけでわかる気がします。でもチャールストンが愛される最大の理由はフードカルチャーではないかと思います。チャールストンの食のバラエティが実にすごいのです。クールでこだわりのダイニングが街中のいたるところにあります。空港から街までは路線バスで向かったのですが、旅行者が行かないような路地をどんどんいくバスの車窓から見えた「普通じゃない」たくさんのレストラン。倉庫みたいなところでできたてと思われるビールを飲んでいる人たち、貨物列車のコンテナを改造したみたいなレストラン。車からみた風景で写真に収められないのが残念でしたが、なんだこれーと叫びたくなるレストランをたくさん見かけました。海に近いだけあり新鮮なシーフード、そして肉好きにはたまらんバーベキューミートはチャールストンのシグネチャー。食事についてはまた別のブログで取り上げたいと思いますが、おいしいもの、独自の路線をつらぬく食のスタイルがあちこちにある印象です。チャールストンにはミシュランブックはありません。だからこそ、どの場所に行っても自由でおいしい食べ物にありつけるんだと思いました。でも・・・やっぱりここはアメリカ、外食は安くはありませんなー。

ちょっとかわいそうな感じがするけど・・・馬車に乗って観光も

ちょっとかわいそうな感じがするけど・・・馬車に乗って観光も

そんな目だけではなく、お腹もたっぷり満たせてしまう、五感で楽しめるチャールストン。アメリカ人が大好きな街、チャールストンはそんな日本人の私も大好きになってしまう街でした。


<サウスカロライナ州・チャールストン情報まとめ>

知る:Explore Charleston(チャールストンオフィシャルページ)
泊まる:Charleston Place, A Belmond Hotel(チャールストンプレイス:街の真ん中にあるホテル。オリエント急行を走らせる会社が運営するホテル)
ワインを飲む & 食べる:Chez Nouz(メニューは日替わりのみ&毎日シェフによる手書き!チャールストンの街のはずれにあるおすすめフレンチビストロ)
Chez Nouzで飲んだオレンジワインの話:Il Ramato Pinot Grigio 2018 | イル ラマト ピノグリージョ

Maya

アメリカのロサンゼルス郊外在住。日本の大学卒業後から15年以上、仕事も趣味も旅行な毎日で60か国以上をふらふら。時に母を連れ、そして途中には旅行の友(主人)を見つけ、強引に(?)あちこち。東京にある秘境系旅行会社でワイナリーツアーのアレンジや自分でも世界各地のワイナリーを訪ねるうち、ワインのことも知りたくなり、旅行の仕事の片手間にワインの勉強も。WSET Level 2資格保持者。日本のソムリエ資格同等レベルのWSET Level 3結果待ち。

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