Scarbolo Il Ramato Pinot Grigio 2018 | スカルボロ イル ラマト ピノグリージョ

Il Ramato Pinot Grigio 04-14-2021.jpg

Scarbolo Il Ramato Pinot Grigio 2018

<WSET Level3 方式テイスティングノート>
カラー:中程度のオレンジ色
香り&味覚:中程度の果樹の花・レモンピール・かりん・洋ナシ・モモ・松やに
発達段階:若い
甘味:ドライ
酸味:やや高い
ボディ:ミディアム
後味:やや長い
品質:良い(Balance, Complexity)
飲み頃:今飲み頃で、熟成には向かない

ワイン名:イルラマト<ピノグリージョ> 2018
生産国&地域:イタリア/ フリウリ-ヴェネツィアジュリア地方、フリウリDOC
ワイナリー:スカルボロ
品種:ピノグリージョ100%
ヴィンテージ(収穫年):2018年
飲んだ場所:Restaurant Chez Nous@Charleston, SC
日本での購入可否:難しそう


今日はこの4月にでかけたサウスカロライナ州のチャールストンの小さなフレンチビストロで見つけた「オレンジワイン」をご紹介します。名前の通りオレンジ色をしたワインなのですが、果物のオレンジが使われているわけでも、またロゼのように赤いぶどうの品種を使ってできたワインでもありません。オレンジワインは白いぶどうからできた白ワインの一種です。聞くところによれば日本でも最近流行っているとか。アメリカでもグルメ関係のポッドキャストなどで取り上げられることもあり、ワインが好きな人なら知っている人も多い、そんなワインです。参考までにWSET Level3 ではオレンジワインは範囲外の項目です(2020年現在)。

このオレンジワインはイタリア北東部のフリウリ-ヴェネツィアジュリア地方の伝統的なワインの一つ。地元ではイタリア語のRama(銅色)からRamato(ラマト)と呼ばれ、この地方の代表的な白ぶどう品種ピノグリージョを使ってつくられています。1960年代以降、世界的に値段も手ごろで飲みやすい白ワインのピノグリージョが人気になったことで、フリウリ-ヴェネツィアジュリア地方でオレンジワインはすっかり影の存在に。スタイリッシュに進化を続けるピノグリージョに対して、ラマトは田舎風のワインの立ち位置。いくつかのワイナリーがその伝統を残すべく今も生産を続けています。その一つが今回テイスティングしたイル・ラマト。

unsplash-image-tq2ClHwDbD8.jpg

オレンジ色の秘密はぶどうの皮によるもの。ピノグリージョは白ワインにつかわれるぶどうですが、実際のところマスカットのように真っ白(真っ青?)ではなく、ぶどうの皮は赤みがかかった灰色をしています。ラマトはそんなピノグリージョからぶどう果汁を取った後、その果汁と皮をしばらく一緒にタンクに置き、香りや味を浸出させています。このひと手間によって鮮やかで透き通ったオレンジ色のワインができるのです。このイル・ラマトはアルコール発酵の前に、絞ったぶどう果汁と皮を24時間ステンレスタンクの中で寝かせています。浸出時間は多くの場合数時間ですが、長く果汁と皮を浸けることによってその色が濃くなるだけでなく、よりしっかりした香りとこっくりとした口当たりのオレンジワインができあがります。

生産者によっては浸出だけでなく、そのままアルコール発酵まで皮と一緒に行なうところもあります。この地域で生産される手頃な価格の白ワインのピノグリージョは辛口でちょっと酸っぱいのが特徴ですが、イル・ラマトは同じピノグリージョなのに、ネクターピーチのような丸い味、花の香り、ほんの少しタンニンっぽさがあるしっかりめのワイン。たったその数時間の浸出だけで、一般的な白ワインのピノグリージョと同じぶどうの品種からできているとは思えないほど、見た目も味も全く変わるのが不思議です。

Il Ramato Pinot Grigio #2 04-14-2021.jpg
sqnpi-logo-247x300.jpg

このイル・ラマトを生産するのはイタリア最北のワイン生産地、フリウリDOC (Denominazione di Origine Controllata) にあるスカルボロという生産者。フリウリDOCのシグネチャー、ピノグリージョとメルローを中心に手頃なワインをつくるワイナリー。オレンジワインについていえばこのイル・ラマトのほかにもう一つXLというのがあり、XLはイル・ラマトより長い時間浸出させています。敷地に13のぶどう畑を所有しており、生産量を減らして味の濃いぶどうを収穫するためにそれぞれのぶどう畑で地形や方角にあった品種を栽培しています。スカルボロではどんなぶどう栽培をするか、地球や土に尋ねながら生産を進めているといいます。ぶどう畑のマネージメントは人間ではなく、地球がするものだというポリシーあってか、ぶどうの木の間には雑草が生え虫や動物がシェルターのように集まってくるそうです。そんなサスティナブルなぶどう栽培は、環境にやさしい生産者に与えられるSQNPIの認証を受けています。おいしいワインは地球にやさしい畑で育ったぶどうから!を実感することのできるワインです。

このワインはアメリカ東海岸、サウスカロライナ州のチャールストンにあるフレンチビストロで1杯いただきました。このレストランにはなんとメニューがありません。その代わり、毎日シェフが手書きで用意しています。メニューは日替わり。その日どんなものが食べられるかはお店に行かなければわかりません。前菜、メイン、デザートがそれぞれ2種類ずつのチョイスが用意されているだけというそのシンプルさが素敵なレストラン、Chez Nousでいただきました。


Maya

アメリカのロサンゼルス郊外在住。日本の大学卒業後から15年以上、仕事も趣味も旅行な毎日で60か国以上をふらふら。時に母を連れ、そして途中には旅行の友(主人)を見つけ、強引に(?)あちこち。東京にある秘境系旅行会社でワイナリーツアーのアレンジや自分でも世界各地のワイナリーを訪ねるうち、ワインのことも知りたくなり、旅行の仕事の片手間にワインの勉強も。WSET Level 2資格保持者。日本のソムリエ資格同等レベルのWSET Level 3結果待ち。

Previous
Previous

Zardetto Procecco Brut | ザルデット プロセッコ ブリュット

Next
Next

Cloudy Bay Sauvignon Blanc 2020| クラウディーベイ ソーヴィニヨンブラン